意志と意思の違いを考えてみた

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ishito-ishi
日本人に生まれながら、案外、類似語の漢字の意味って、正確にわからないものですよね?

ちなみに、「意志」と「意思」の違いってわかりますか?何となくニュアンスではわかるけれども、いざ言葉で説明するとなると困りますよね!

漢字には、成り立ちにきちんとした意味があり、その言葉の組み合わせになっているのです。

社会人として生きる私たちにとって、各場面において、ふさわしい言葉選び・言葉使いができるという事は、人間関係を築く上において、信用・信頼にも繋がる重要な要素なのです。

本日は、意志と意思の違いを考えてみたというテーマの元、以下にその意味の違いと使い方の違いをご紹介します。

このテーマを通じて、ご自分のふさわしい言葉選び・言葉使いの振り返りと改善につなげて頂ければ幸いです。

 

意志と意思の違いを考えてみた

「意志」は志、「意思」は思い

まず始めに、わかりやすく、二つの違いをご紹介するために、漢字に注目してみましょう!

共通点でいうと、「意志」にも「意思」にも、心という言葉が二つずつ入っていることから、この二つの言葉は心の内面を表しているということがわかります。

次に相違点でいうと、「意志」は志、つまり心に目指すものがあり、それに向かうという心を表し、「意思」は思い、漢字の意味のとおり、感情も含めた思い・考え方に関する心を表しています。

二語の意味の違いをわかりやすく、以下に四字熟語でご紹介します。

※「意志」を使う四字熟語
・意志薄弱(いしはくじゃく)
※ 物事をやりとげようとする気持ちや、自分で決断を下す強い判断力に欠けること。

・意志堅固(いしけんご)
※物事をやり抜こうという心が、しっかりとしていること。また、困難な状況に置かれても我慢強いこと。

※「意思」を使う四字熟語
・意思表示(いしひょうじ)
※ 自分の意思(考えや思い)を相手に示すこと。

・意思疎通(いしそつう)
※ 互いに考えていることを伝え、理解を得ること、認識を共有すること。

 

「意志」は具体的なもの、「意思」は抽象的なもの

前章で説明したとおり、「意志」は志、すなわち心に「魂」があり、目標・目的という志を持って、自らその実現に向けて、動きたい!という心の表れなのです。

わかりやすく例を挙げると、「1ケ月で10kg痩せる!」「営業成績で社内トップを目指す!」というように、具体的に志すものが明確であるという特徴があります。

また「意志」のある人の発言には、語尾に「〇〇します!」「〇〇したいです!」などの、言い切り・完結型の表現が多く用いられるのも象徴的です。

それと比較して、「意思」は思い、すなわち心に「魂」はなく、過去の人生経験に基づいて自己内に形成されている、自分の価値観を元に、「考えていること」や「思い」という面での心の表れなのです。

特徴としては、話しの最後に「〇〇と思います。」「〇〇したいなぁ~」「〇〇できたらいいなぁ~」という表現が多く用いられ、漠然とした「願望」が表れるのも象徴的です。

 

「意志」は積極的なもの、「意思」はどちらかというと消極的なもの

前章で説明したように、「意志」には心に「魂」があるため、自ら主体的に、積極的に行動することが前提の、心の内面を表明する内容になります。

そのため基本的には、ポジティブな行動につながり易く、「意志」を表明した自分自身はパワフルで、周りを巻き込み、強力に前に推し進めるという、チカラを持っているという特徴があります。

また、「意志表明」をする際には、語頭に「僕は」「私は」などの主語をはっきりと言った上で、物事を発言するというパターンが多く見られます。

他方で「意思」は、漠然と「考えていること」や「思い」であるため、発言自体に「現実味がない」「ただ言っているだけ」と相手に取られ、記憶に残りにくく、「意志」と比べると「消極的」と捉えられることも、しばしばあります。
そのため、「意思表明」をする際は、語頭の「主語」は無意識の内に省かれ、物事を発言するというパターンが多く見られます。

 

「意志」は行動をともなうもの、「意思」は行動をともなわないもの

前章で説明したように、「意思」は漠然とした「思い」であるため、一般的に、行動はともなわないものです。

しかし、「意思」に、ご自身でインパクトのある実体験をすることにより、「何がなんでも実現したい」!という、希望・目標・目的意識が芽生えることにより、「意思」は「意志」に変わり、この「意志」が原動力となり、「意志」の実現に向けた行動が、ともなってくるのです。

わかりやすく例を挙げると、喫煙者である自分が、体のことを考えれば出来れば禁煙したいという、「意思」を持っていたとします。

ある日、先に「禁煙」を実行した友人から、「禁煙するとご飯がおいしくなり、体力も回復し、毎日が充実している」という話しを聞き、昔から友人が話している状況を実現したい!という願望のある自分が、決意した!この瞬間に、「意思」は「意志」へと変わり、「禁煙」へ向けた行動がともなうのです。

 

「意志」は心理学用語、「意思」は法令用語

最後に、補足になりますが、「意志」は心理学用語であり、「意思」は法令用語であるということを、抑えておきたいと思います。

「意志」を心理学では、生活体が示す目的的行動を生起させ、それを統制する心的過程。

「意思」は、法令用語で、民法上は、身体の動作の直接の原因となる心理作用や、ある事実に対する意欲をさし、刑法上は、自分の行為に対する認識をさし、時には犯意と同じ意味を持ちます。

少し難しい内容ですので、あぁ、そうなんだ!という雑学のマメ知識程度に留めて頂けると幸いです。

 

いかがでしたか?

本日は、意志と意思の違いを考えてみた、というテーマでみなさんと一緒に、「意志」と「意思」の意味の違い、及び使い方の違いをみてきましたが、いかがでしたでしょうか?

知っているようで知らなかった!間違った使い方をしていた!という方、以外と多かったのではないでしょうか?

元来、日本語は英語に比べて、漢字・カタカナ・ひらがなと文字種も多く、また多種多様な表現方法が存在するため、そのすべてを把握し、正しく使うのは困難です。

しかし、社会人として生きる上で、必要最低限の言葉については、正しい意味を知り、正しい言葉使いを実践することは極めて重要です。

この記事を読んだことを、よいきっかけとし、もう一度ご自分の言葉使いを振り返ってみてはいかがでしょうか?

 

まとめ

意志と意思の違いを考えてみた

  • 「意志」は志、「意思」は思い
  • 「意志」は具体的なもの、「意思」は抽象的なもの
  • 「意志」は積極的なもの、「意思」はどちらかというと消極的なもの
  • 「意志」は行動をともなうもの、「意思」は行動をともなわないもの
  • 「意志」は心理学用語、「意思」は法令用語